IMESの概要

屋内のエリアごとに送信機を設置するだけでGNSS対応デバイスが位置情報を得られる
世界で唯一の画期的な技術

imes

世界規模のアプリケーションサービスを生む日本発の発明 「IMES」
測位衛星技術株式会社 代表取締役社長 鳥本 秀幸

1.屋内位置特定技術とIMES

2012年度初頭に世界で利用されている携帯電話は約60億台で、これは世界人口の約70億人の86%にあたり、100%に到達するのも時間の問題と見られています。また最近とりわけ注目されているものとしてグーグル、アップル、マイクロソフトの3大米国IT企業が発信しているスマートフォン向けの制御ソフトがあります。また、それを搭載するスマートフォン本体は主に台湾、中国、韓国などで集中的に大量生産され全世界に供給されている。現在グーグルのアンドロイドのシェアが約60%で首位に立っています。現在生産されている全てのスマートフォンには、利用者の位置を何時でも把握できるGPS測位機能が搭載されています。

このきっかけとなったのは、1990年代に電話市場が固定電話から携帯電話に移行した際、携帯電話からの緊急通報に対して通報者の居場所の特定に手間取り、救えただろう命が救えなかったケースや、場所の確認が遅れ、火災の拡大を招くなど重大な問題が起きたことにあります。その結果、すべての携帯電話へGPS機能が導入される様になりました。まず、欧米において、E911と呼ばれる救急システムで動きが始まり、後に日本でも規則として導入されました。

以前は、電話が固定設置されていた為、電話番号からその位置が瞬時に把握できました。しかし1990年代の移動電話普及により、利用者位置特定が困難になり、GPS機能の搭載に至ったのです。しかし、GPS搭載携帯が普及すると、次に問題になったのは、GPSでは屋内での位置測位が不可能と云う事で、1990年代後半から屋内測位技術開発が始まりました。

最初に現れた技術はアシストGPSと呼ばれ、受信感度を限界まで高める事により屋内に漏れている超微弱GPS信号を受信し、これと通信ネットワーク上のGPS基地局の助けを借りて屋内の位置を特定する技術です。この技術を開発したのは米国シリコンバレーにある30人ほどのベンチャー企業であったスナップトラック社です。この会社を1990年代初頭に米国のクワルコム社が1,000億円ほどで買収して話題を集めましたが、まもなく、この技術はKDDIにより日本で初めて導入されました。

他方でキャリアによる通信ネットワークの近代化に伴いインターネット通信技術が発達してきました。その代表的なものがWi-Fiと呼ばれる通信技術で世界的に普及しています。この技術は安価で容易に携帯電話の通信基地としての機能が実現できる為、ホテル、移動中の車両、新幹線、および個人レベルの通信接続機器として、世界のインフラに成長しています。ちなみに2012年現在で日本国内には約2,300万箇所に設置・利用されているそうです。現在、このインターネット通信技術は新世代のスマートフォンに基本機能として組み込まれています。前後してWi-Fi本来の目的であった通信技術を副次的に利用したのが、WiFi基地局から受信する電波の強度レベルにより受信者までの距離を推定する測位技術です。Wi-Fi測位技術の最大のメリットは、世界的に普及した事によるアベイラビリティー(利用可能性)です。この世界的普及がベースとなりこの技術に関する代表的企業が米国のベンチャー企業のスカイフック社です。しかしこの技術の難点は、

  • WiFi局からの電波の強弱により位置を推定する為、正確な位置が把握できない。
  • WiFi局設置の位置が固定とは限らず、その位置座標も高精度に得られない。
  • WiFi局から利用者までの空間環境が人の動き、電波遮蔽物などにより常に一定でない為、位置精度の正確性と安定性に劣る。

という点にあります。しかしアシストGPS技術と同様にWiFiによる測位技術も、その測位精度が劣ること、かつ精度が不安であることに因り、利用サービスの拡大に結び付かないのが現状です。

2.世界社会インフラとなったWi-Fiにおける反省点

Wi-Fi関する過去の反省点はWi-Fi局の設置方法にあると考えられます。

Wi-Fi局は元来、通信ネットワークを目的に設置が始まりました。その為には相互の妨害問題などがなく通信機能が決められたルールの範囲内で正常に行えれば、その目的を果たせる事となり、何処に設置されたか正確な位置はさほど必要性がありませんでした。しかしその後設置されたWi-Fi局からの電波の強度を利用した測位技術が、派生技術的に考案され、瞬く間に世界に広がりました。これはIMESと同様にWiFi局そのものの機能や、ハードウエアの変更なしに、新技術が考案された為、普及したのです。しかし普及した今、位置の精度が不安定かつ不正確という欠点が露呈し、屋内測位技術の切り札となりえないのが現状です。今から考えれば、もし全てのWi-Fi局の正確な位置が判っていれば、理論的に考えても、もっと精度の高い位置情報が得られるはずでした。

3.世界のスマートフォン関連企業の動き

この屋内測位技術の問題を裏づける動きとして、スマートフォンに関連する世界の主要企業が動きだしました。広範なサービスアプリケーションに適用可能な屋内測位技術を開発しようと、2012年末にクワルコム、ノキア、ブロードコム、サムソン、ビジオ、フィリップ、ファーウェイなど世界の主要な通信事業者、通信機器開発・製造者、屋内測位技術開発関連企業等が集まり、インドア測位技術の研究開発グループとして「In-Location Alliance」を立ち上げました。これは現在スマートフォンで普及している屋内測位技術も、個々の目的に拠っては未だ必要十分条件を満たしていない事を証明しています。余談ですが、弊社も既に世界各国で特許を取得したIMESによる屋内測位技術の取るべき方向性と、屋内測位に対する技術動向やニーズを見極める目的もあり、エントリーしています。現在、日本からは弊社がグループの一員に選ばれて参加しています。

4.IMESは日本発の画期的発明

この様な世界の屋内測位技術開発の流れの中で、2006年頃に発案し、登場して来たのがIMES(=日本正式名Indoor Messaging Systemまたは欧米でIndoor measuring systemとも呼ばれている)と命名された画期的技術です。IMESはアシストGPSやWi-Fi測位の欠点を一機に解決する事ができる、測位技術分野における数少ない日本発の発明です。日本国内ではJAXA、SPAC、IMESコンソーシアム等による活動に加え、弊社独自に海外へ普及活動を行なってきた結果、IMESの利用研究が活発化してきように感じられます。現時点では具体的な団体、企業名は明らかにできませんが、国内や弊社内部で常識的に発想されている利用分野と比較して、実にユニークな利用が考えられている事に大変驚かされます。これらの状況から考えると、IMESの利用分野は、まだまだ未開発であり、今後世界中で斬新な利用分野やサービスが生まれてくる潜在的可能性があります。従って今後10年位の先を見越し、世界に先駆けて新産業分野を開拓する事が重要であると確信しています。

5.IMESの類を見ない優位性

IMESの特徴としては、スードライト、アシストGPS測位、WiFi測位等の欠点を解決した画期的技術でスマートフォンに組み込む為の条件を満たしている事です。

  • 1か所の屋内送信機で三次元位置データが得られ、スードライト(=擬似衛星)の様に4ケ所の送信機が必要でない為、屋内で極めて自由な展開が可能である。
  • 位置座標データを直接IMES送信機から得る事により、スマートフォン側での位置計算が不要で、電力消費が極めて少ない。
  • 一般的に使われているGPS受信機の設計変更をする事なく、プログラム追加のみで屋内外をシームレスに測位できる受信機に変えられる為、コスト増加がほとんどない。
  • 「位置データ」と共に、ビルや地下街の「フロアデータ」も送信する為、どんな大きなビル内でも、どんなに深い地下街でも正確に場所の特定ができる。
  • 個々のIMES送信機の電波強度を1dBm毎に制御する事により、一般的には十数メートルから1メートルまでの範囲での精度コントロールが可能である。
  • IMES電波を受ければ、その位置の数メートル以内にいる事が保証され、アシストGPSやWiFiの様に位置精度の不安定さや精度劣化は起きない。
  • IMESによる屋内の正確な3次元のナビが可能である。
  • 屋外のGPS衛星又はIMES送信機間の時刻同期がなくても機能する為、設置技術的に容易である。

弊社のこれまでの実験では病人がベッドから離れた事が判る、約1メートル以内の精度が可能です。IMESはGPSと同じ電波を使っている。GPS信号は全世界に均等に送信されており、しかも電波強度は-130dBmという自然界のノイズに埋もれる程の超微弱電波の為、世界的にも厳しい日本の電波法でも規制対象外ですので、基本的にはどこでも設置が可能です。一般的にIMES送信機は5~10m以内のエリア内においてGPS受信機で受信できる様な電波強度で設置する為、IMES信号が受信できていれば100%確実に5~10m以内の3次元位置特定が保証されます。それ故IMESには位置情報を利用した数々のサービスに対して位置の正確さを保証できるという価値があります。IMESは、WiFiとは異なり、初めから、「いつ」「どこで」「誰が」といった、人や物の行動空間での活動における必要不可欠な情報を幅広い応用サービス分野に提供する事を目的として開発されました。IMESは3次元ナビが可能で、建物内で何階の何処という場所が明確に得られ、しかもその信頼度が確実であるので広範囲の応用サービスに適応できるのが最大の特徴です。ポイントは「何処の○○メートル以内」という信頼性です。この信頼性こそが多くの応用サービスに適用できる絶対的な要素です。IMESは電波が微弱な上、その微弱電波をさらに1dBmステップで調節して電波の到達範囲をコントロールできます。またGPS受信機は、その感度に対応できます。しかも、そのGPS受信機の受信可能な電波強度の限界も、明確です。更にIMES送信機には非常に正確な位置座標が格納され、それが送信される為、位置情報は正確かつ信頼性があるという特徴を持っています。このIMESに格納される位置座標は一般のGPS受信機と互換性があるGPS座標と同一で世界標準仕様です。従ってIMESに格納された個々の位置座標そのものが、世界で屋内外を通して唯一無二のデータでありIMES送信機の設置場所はその物のIDにもなり得ます。IMESはこの位置座標とその座標に付与されたPRNコードにより、基本的に維持管理されます。

6.IMES信号の伝播ロスの概念図

下記の図はGPS信号をIMES送信機から送信した場合における標準的な伝播ロスを示しています。周囲の環境で反射が起きて距離が多少変化する場合があるので最終的には現地における微調整が必要です。左の図の様に送信電力が-90dBmの場合は1メートル先で-130dBmまで減衰し一般のGPS受信機で受信する電波強度となります。

Typical Propagation Loss

7.日本の測位衛星システム「みちびき」に正式採用されたIMES

3年前、「みちびき」と命名された日本の測位衛星の第一号機(=準天頂測位衛星システム)が打ち上げられ、米国、ロシア、EU、中国と共に日本も世界の測位衛星システム保有国の仲間入りをしました。(注:これらの総称としてGNSS=Global Navigation Satellite Systemという)これらの衛星測位システムの中で、とりわけ注目されているユニークな機能が屋内測位技術のIMESです。IMESは日本の「みちびき」のみならず世界の全ての衛星測位システムとまったく同じ方法で融合できる技術であり極めて他の衛星測位システムへ高い親和性があります。ちなみに世界の他の衛星測位システムには日本の様な屋内測位機能の規定はありません。世界の誰も発想できなかったという事でしょう。唯一日本の準天頂衛星測位システムのみが屋内測位機能としてIMES方式を取り入れました。この様にIMES方式は日本発のユニークな発想による発明であり、日本政府は米国政府のGPS関連機関とも協議の結果、GPSとインターオペラビリティーを確保している「みちびき」の仕様として採用されました。米国からは、地上で衛星信号を出す為の10個のPRNコードをIMESに対して正式に付与されました。この事はGPSシステムの仕様の一部として、公式に世界に認められた事を意味します。つまりIMESのユニークな発想は、世界において公式に認められる程の価値のある技術と言えるのです。

8.IMESは世界の社会インフラ

IMESはWiFiによる通信網と同じで、世界に普及してしまえば、スマートフォンにより「誰でも、何時でも、何処でも」、屋内外でシームレスな測位環境を自由に利用する事ができます。この機能は世の中の測位機能を必要とするシステムや関連産業の発達に多大な貢献をする事は疑う余地がありません。つまり、人が活動したり物が移動したりする生活空間において「何時、何処で、誰が」といった情報を屋内外でシームレスかつリアルタイムに把握できる測位環境が整うのです。「スマートフォンに代表される移動通信機器、インターネットによる通信技術、それにシームレスな衛星測位技術」の3要素が全地球規模で融合するということは、現代における産業革命の基になる重要な機能を世界に提供する事を意味します。日本をはじめ、世界の国々では、労力提供ビジネスから、物創りビジネスに変化してきた過去に対し、未来ビジネスは3要素が結び付いたスマートフォンを舞台した「知恵のビジネス」に挑戦すべきであると考えています。

弊社の創立以来、めざしてきた「Position & Communication] の融合した環境が地球規模で実現する日が現実となってきたのです。この意味でIMESは世界に一定のルールを守って設置され世界の人達が共通に利用し、あらゆる応用産業と利便性を生み出す巨大な世界インフラとすべきでしょう。

GPSを代表とする世界の衛星測位システムに割り当てられた電波は現在では文字通り世界の社会インフラとなっています。今後、建設される予定の中国、EU、インドなどのシステムも維持管理主体の独自の目的とは別に、全世界無料で共通に利用できる構造になっています。IMESもそれらの一部の電波を利用している訳ですので、当然、世界で共通に無料利用できるようなルールと環境作りが必要不可欠です。

9.IMESの設置、維持管理と技術的習得の重要性

IMESが世界的に広がり、統一したルールの下に維持管理が行われれば、全世界に多大な利益をもたらす事は前に述べた通りです。それは文字通り日本から発信した世界のインフラとなることを意味します。その実現の為には、IMES送信機の設置基準、設置方法、PRNコードと呼ばれる信号の維持・管理方法の確立が必要となります。しかも、それは国情が異なる国々において、日本の独善性を排し、かつ柔軟な民間の活力に配慮された「推薦される管理基準」を世界に示す必要があるのです。現在、これらの作業はJAXA、IMESコンソーシアム等を中心にして試案作りがなされています。IMES技術を使ったサービスを行おうとする事業者は、これらの推奨ルールに準拠した設置、維持管理を行い日本として世界に管理手法を示す必要があります。

しかし実際の場面では、日本で作成したIMESの取り扱い基準を世界的なルールにするには、多くの難問が存在しています。国家間には治外法権の壁があり、日本で開発した方法をお願いする事はできても、政治体制の異なる異国に強制する権限はないと云えましょう。仮にできたとしても国家間でその取り決めがされない限り困難です。まして民間が主導する新ビジネス創造に、民間自身で政治力を行使するには、よほどの事がない限り難しいと云えます。従ってこの点を解決する方法としては特許権許諾を条件にした契約により、契約条件として維持管理方法を統一する戦略以外にないと考え、弊社は早くからその方向を目指しています。そして世界中の屋内測位に関するサービス事業者とお互いにWIN・WINの関係を目指して、協業を目指し、その中で世界共通の屋内測位環境を構築することを目指す計画です。これは、ルールの話であって、お金の話ではありません。だからこそ、世界の公的機関、私企業を問わず理解を示し、現在、徐々に世界に広がろうとしているのです。

10.弊社におけるIMESの設置、維持管理ツールの開発

 

(A)IMES送信機設置・管理ソフトウエア

iMES Tx Management Software

IMES送信機を設置する時に、設置場所の情報に合わせて入力する位置座標、PRNコード、ID、セキュリティーコード、電波強度等をワイヤレス通信にて個々の送信機に書き込むことができ、また、そのデータをIMES送信機設置・管理ソフトウエアのDATA BASEに送り込める機能を持っています。また、座標・電波放射シミュレーションシステムで計算計画を満たす配置が仮決めされたデータをこのシステムに送り込み、実際の設置現場で最終的に電波強度などを微調整し確定する機能も有しています。

(B)IMESデータ管理システム

iMES Tx Management Software]

このシステムはIMESに書き込まれたデータの他に、管理責任者情報、設置場所、設置後の変更履歴、IMESユニットのシリアル、バージョン情報、メーカー、製造年月日等あらゆるデータを管理し、分析できる機能を持っている。このデータベースは他の2つのシステム間でデータを共有できる構造になっています。

(C)IMES位置・座標計算システム

iMES Cordinate Generator System

このシステムの目的は建物内にIMESを取り付ける位置の座標を正確に測量する事は困難を伴い、測量作業するにしても非常に効率が悪い為、それらの作業を迅速かつ正確に誰でもできる方法を研究して本システムを開発してきました。このシステムは3次元CADとGISを利用し、コンピューターグラフィック技術により建物や地下街のラスターデータ図面からベクターデータに変換し、3次元の建物図面を作成し、それをGISに取り付けることにより、グラフィックで作成された3次元の建物のどこをクリックしても3次元座標が得られる機能を有しています。IMES送信機を予定された位置に取り付け、それを内蔵の電波強度や電波拡散のシミュレーション機能により、シミュレーションを行いながら取り付け位置や電波強度を調節し、最終的に必要エリアに必要な強度の信号でカバーされているかどうかをグラフィックで確認できます。

このシステムのグラフィック上で位置を一旦確定すれば、取り付ける個々のIMES送信機に格納する為のデータベースが出来上がり、それらを事前に取り付け前のIMES送信機に格納する事もできます。また同データを、弊社開発の「IMES送信機設置・管理システム」にダウンロードして、設置された現場で携帯パソコンからワイヤレスに個々のIMES送信機と通信し微調整を行う事もできます。最終的にはセキュリティーロックを掛けて変更できない機能も当然の事ながら有しています。この様なプロセスで各々のIMES送信機に対して、簡単にかつ自動的に高精度な緯度、経度座標及びフロア階のデータが確定できます。これらのツールにより設置準備作業が極めて簡略化されます。

弊社はこれら(A)~(C)の様な機能のシステムが存在しなければ、設置するのは困難であると早くから考えて開発してきました。特に建物内における座標計算、測量等は、専門知識があっても大変難しいことです。それを上記の様なシステムで誰でも簡単にできる様にしたのが、これらのシステムでなのです。

11.IMES設置工事、維持管理の従事者の要件

IMES送信機の設置工事を行う事業者は-130dBmと言ったノイズに埋もれる様な電波の取り扱い方法や計測方法を研究開発すべきである。GPSの電波は一般的なスペクトラムアナライザーの様な測定器では感知できないレベルの超微弱電波です。この様に普段ほとんど取り扱わない電波の取り扱いや調整方法を正しく理解し、その上で、IMES同士の干渉有無の判断や、干渉回避技術をマスターして正確かつ的確に行える技術を習得しなければならなりません。またそれを遂行する為のツールの技術開発も行わなければなりません。更にIMES送信機の「位置座標」の測量方法や、システム開発を行なわなければならなりません。そして、その設置基準及び維持管理基準は日本のみならず世界で同一基準にするのが望ましいと思われます。これらが完成した時は、文字通り屋内測位に関する世界標準の社会インフラとなるのです。

またPRNコードの性質と取り扱いについても知識が必要です。IMESに付与されたPRNコードと呼ばれる混信を回避するためのコードの数量は無限ではないので、付与されたコードをうまく理論的に配置し混信回避行わなければなりません。設置後の維持・管理を無視して無秩序に設置する事は、統一性を欠き、安定した社会インフラになりえない為、しっかりとした設置ルールを確立し、かつ世界で容易に受け入れられる様な方法と規則を確立すべきです。またIMES送信機販売に関しても無秩序かつ無責任な販売を行う事は社会インフラを破壊する事にも繫がるので、基本的には信頼できる立場、技術及び管理システムを保有する当事者間での契約等により全体的統一性を確保しなければならないと考えています。弊社はこの様な考えの下にIMESの普及をはかる所存です。

12.IMESは世界唯一のGPS信号送信機

IMESの機能をスマートフォンのGPSに付加する事は、非常に安価に、迅速にできる事は前にも述べました。しかしGPSの信号を発信する送信機は世界の何処を探しても見つかりません。現在までGPSといえばGPS衛星から発信される電波を受信するGPS受信機のことを指していました。私が最初に勤務していた世界最大の民間GPS受信機メーカーである米国TRIMBLE社をはじめJAVAD社、ノバテル社、U-BLOX社、SEPTENTRIO社、QUALCOMM社、BROADCOM社、CSR社など世界中の著名なGPSメーカーは全て受信機開発メーカーです。GPSが日本にもたらされた1980年代半ばから20数年間、世界のどの企業も、国家も、GPSの衛星信号を出すような機能をビジネスにできるという発想はなく、一部でスードライトと呼ばれる製品は存在したものの、それをLSIまで発展させて、IMESの様な製品を、新たに開拓する企業は世界のどこにもなかった。現在、我々の知る限り、世界で唯一弊社がそれを実現したと自負している。

13.IMES発明の原点

1990年代初頭には、GPS普及の業務に携わっていましたが、その時多くのシステム開発技術者から聞こえてきたGPSに対する最大の不満は、「開発したシステムが建物、山など物陰にはいった時にGPS信号が途切れる為、システムその物の本来の目的を果たさない」という事でした。これが我々の屋内測位技術の研究開発を始めるきっかけでした。最初にスードライトに注目して本業の傍ら、会社の技術者と研究を開始した。その後、数世代の開発を経てGPS信号生成・送信システムともいえます。

IMES送信機のLSI化(超集積回路)の実現につなげた。LSI化する以前のIMES送信機はサイズも大きく数枚の電子基板を使い、高価な部品を採用しなければならず、ユニットコストが高く、IMES普及は「絵に描いたモチ」と見られていたが、NEDOの助成事業の支援プログラムによりLSIの完成に到達した事で、IMESの社会インフラ化実現の可能性に大きく近づきました。このLSI化で送信機コストは極端に下がり、一般の建物などに容易かつ安価に取り付けられる価格帯までになった。弊社は今後とも更に改良を重ね、コストダウンに挑戦する予定です。

14.弊社開発のIMES送信機関連商品

下記の左の写真は弊社開発のLSIです。中央はそのLSIを使用したIMES送信機のコアになる電子基板、そして右側はその電子基板を組み込んだIMES送信機の例です。

iMES Transmitter Products

IMES信号を送信する送信機の製品群として弊社では上の写真の様な開発を行い、現在、量産準備に入っています。従って最も大きな課題であった送信機の小型化、省電力化、低価格化のめどが立ち、急速に普及する見通しです。

15.民間利用の現状

現在、「みちびき」の第一号機の機能開始に伴い、IMES信号の受信機能をGPS/GNSS受信機に搭載し、屋内外でシームレスに測位できる機能を利用したシステム開発のプロジェクトが動き出しています。それに呼応して、弊社等の提案により、主に民間の企業約130社余りが集まり、IMES関連のアイデア、情報共有、各種提言などを目的として2011年6月に財団法人宇宙フォーラム内に事務局を置いた[IMESコンソーシアム]が設立されました。一般的な例を挙げてみると、ショッピングモールでの買い物ガイドシステム、レジャーランドなどでの迷子さがし、地下街、空港、鉄道、トンネルなどでインフォーメーションシステム、防災分野などでの安心・安全に関するシステム、ビルからの出入り及びビル内での行動に関するセキュリティーシステム、火災や緊急時において屋内監視カメラや避難誘導灯を利用した避難誘導ガイドシステム、工場内外のリアルタイム物流管理システムなどが挙げられます。

16.国、地方自治体による利用

医療・介護への応用は文字通り全国をカバーするサービスになり得る可能性を秘めています。現在、全国的な普及が計画されているものとして、在宅介護者に対するホームヘルパーの行動記録と可視化及び料金決定システム、全国の大学や大学病院、一般病院などにおける医師のリアルタイムな行動の可視化と急患、および救急との連携のマネジメントシステム、並びに患者の病院内外での動きの可視化と24時間を通した状態管理、それらの広域医療総合マネジメントシステムの構築において屋外・屋内でシームレスに状況を追尾する機能としてIMESが採用される事になりました。全国の病院、大学及び自治体等によって、効率的かつ公正、迅速なシステムの構築を目指し、日本の高齢化に対応できる医療サービス実現に向けた努力がなされています。現在、[社団法人地域医療情報研究開発機構]が設立され、弊社もこの社団法人に理事として参画し、これらの計画に協力する事になっています。

[広域医療総合マネジメントシステムの概念図]

iMES Nation-wide Health-care Network

もう一つの例として、国交省の国土地理院による「場所情報コード」と呼ばれ建築物に屋内の場所情報コードを付与する検討がされています。これはIMESの送信機と連動させる可能性も同時に検討されていますが、実現すれば、これらの基準点は建物のIDとしての利用できる可能性もあります。

17.IMESに対する世界の反応

昨年、米国のCTIAショー(携帯電話関連の米国最大のショーの一つ)がニューオーリンズで開催された折、弊社もIMESの展示ブースを出した。その展示会に先立ち、世界のクワルコム、ベライゾン、AT&T,スカイフック、ブロードコム、ノキア、シスコ、米国政府機関など大手プレーヤーのVIPが参集してプライベートミーティングが非公開で開催され、そこに弊社のIMESも招請されて技術発表を行いました。そのプライベート会議で判明した事は、「今年が新型スマートフォンのインドア測位技術開発の元年」という位置付けでした。その中のテーマとしてアシストGPS、WiFiによる測位、それにIMES方式が取り上げられました。参加者の中で、今回初めてIMESの詳細を聞いた人が多く、弊社のプレゼンテーション終了後の反響は大きく、大変な感銘を受けて我々の所に集まって来た。ある大手企業からはビジネス交渉の提案もありました。

これと同じ状況が昨年3月初めにスペインのバルセロナで開催されたGSMアソシエーション主催の世界最大の携帯電話関連のショーでもみられました。このことから、今世界ではいかに屋内外測位技術に関心が向いているかが感じられました。そして現在あるアシストGPSやW-iFi測位などの屋内測位技術に満足されていない事も、非常に強く感じた次第です。その様な中で、特にIMESSに関しては世界的に強い関心が当社に寄せられているのが実態です。

現在、IMES関連のパテントは弊社が世界各国に申請し、現在では日本をはじめ、欧米、アジア、アフリカ等の数十か国で成立し、正式登録されている。弊社はシームレス測位環境構築やそのサービスを事業とする企業との協業や協力関係の構築を目指してます。

19.ニュービジネス創造の視点

IMESの受信機開発者は、それ程コストをかける事なく簡単に実現できますが、送信機は一種の社会インフラである為、コスト負担者に何らかの目的や利益がない限り、設置が困難です。例えば、ビル所有者、屋内外のシームレスなサービス提供事業者などのケースでもしかりです。しかしどのケースでも、一旦設置されれば誰でも共通に、かつ自由に利用できます。そこで問題は誰がどういった目的で設置するのかという事になります。この利用市場を見つけ出す事が、すなわち世界規模のビジネスにも繋がります。IMES方式の利用は、ビルのインテリジェント化、セキュリティー、あるいはショッピングモールでのガイド、安心・安全の為に地下駐車場、トンネルなどで通信+位置への応用、工場、原発等で屋内外を通じた人、物、機器の誘導やモニターへの応用、ワンセグと組み合わせ、ショップの情報のスマートフォンへの送信などでの応用、地下街の地図とスマートフォンを連動させた屋外の目的地への誘導サービスシステムへの応用、一般に行われている道案内の屋内での3次元ガイドサービス、最近グーグルが日本と米国で開始した3次元立体画像によるインドアビューとの融合などIMESの応用ヒントは無数に存在しています。

設置されたIMESを利用する最大のプラットフォームは世界人口に匹敵するまでに増加したスマートフォンのような携帯通信機器です。スマートフォンは世界77億人が活動しながら、移動しながら利用する巨大市場そのものです。今後すべてのスマートフォンには緊急通報時の要求から世界的に合意が形成され、まずGPSが搭載されます。そして今後10年間位の間に130機余りの衛星が測位専用衛星として世界で打ち上げられ、今よりも格段に屋外での衛星測位は高精度、高信頼性、利便性などが確保されるのは疑いの余地がありません。しかしそれらの衛星増加によっても、屋外と同じ信頼度の答えを屋内では得られないのは明白です。屋外測位機能が充実すればする程、「使える」屋内測位技術の必要性は増大します。この点を、例えばIMESで克服すれば、その後には全世界の事業者、ベンチャー企業から個人に至るまで世界のスマートフォン上で提供されるサービス市場を舞台として、世界のどこにいても、また世界のどこからでも、巨大企業に所属していなくても、能力と知恵がある者が、ある日突然、世界を動かす様なシステムやサービスを生み出す事ができるのです。

この様に歴史上、前例のない巨大ビジネスプラットフォームが出現した事が意味するものは、世界中の人が移動、静止を問わず全世界単一ネットワーク上で24時間、リアルタイムなコミュニケーションを通して需要を生み出す巨大市場が出現した事を意味しています。

これからの時代は間違いなく、この巨大市場をターゲットに、多くのアイデアビジネスが世界中で開発され、その中から、一夜にして巨万の富を築くケースが大量に出現する事が想定される。物の製造で過酷な競争に直面している日本においては、この分野に焦点を当てた産業をプロモートする事が賢明な選択であると言えます。このプラットフォームには世界中の誰もが参加でき、しかも同じスタートラインに立っている状況であると言えるからです。世界に目を向けた、グローバルスタンダードなアイデアビジネスを日本発でも簡単に発信できる状況にある今こそ世界市場をターゲットとして知恵を振り絞ってこの巨大プラットフォームでニュービジネスに挑戦すべき時なのです。

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